この本が難しい理由
『論語』は孔子が書いた本ではありません。孔子が亡くなったあと、弟子たちが「先生はこう言った」という短いメモを集めてまとめたものです。ですから最初から順に読んでも、話がつながっていきません。ひとつの話が数行で終わり、次はまったく別の話が始まります。これが500回くり返されます。 もうひとつ、弟子の呼び名が途中で変わります。同じ人が「子路」と呼ばれたり「由」と呼ばれたりします。本文には説明がないので、誰の話をしているのか分からなくなります。 全部で20の章があり、それぞれに「学而」「為政」といった名前が付いています。ただしこの名前は、その章の最初の2文字をそのまま取っただけで、中身とは関係がありません。目次を見ても何が書いてあるか分からないのは、そのためです。
読む習慣をつくる
ここから入門書で主要概念をつかむ
ここから大事な言葉を自分の言葉で言えるようにする段階です。著者を2人読んで、見方がかたよらないようにします。
省略した2ステップを表示
次に進む条件
「仁」「君子」「礼」がどういう意味か、本を見ずに言えます
骨格を圧縮版でつかむ
ここから原典を現代語で短くまとめた本で、全体の骨組みと章の並びを頭に入れる段階です。
原典をガイドと並読する
ここから解説書を横に置いて原典を読む段階です。「原典の中での読む順番」に従うので、最初から読み始めなくて構いません。
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読了の目安
最後まで目を通し、気に入った言葉が3つ以上あります
原典の中での読む順番
- 第1章「学而」から第9章「子罕」まで(前半です。孔子と弟子のやりとりが中心になります)
- 第10章「郷党」は飛ばしてください。孔子の服装や食事の作法だけが並ぶ章で、ここまで読んできた人がいちばん止まりやすい場所です
- 第11章「先進」から第15章「衛霊公」まで(後半です。短い話が多く、量があります)
- 第16章「季氏」から第20章「堯曰」まで(終盤です。孔子以外の人の言葉も混じります)
- 最後に第10章「郷党」に戻ります。読まなくても構いません
用語の対応表
| 入門書でよく見る言い方 | 岩波文庫(金谷治訳)の言い方 |
|---|---|
| 思いやり | 仁(じん) |
| りっぱな人 | 君子(くんし) |
| つまらない人 | 小人(しょうじん) |
加地伸行さんが訳した本だけは「君子」を「教養人」、「小人」を「知識人」と言いかえています。他の本とは意味の取り方が変わるので、読みくらべるときは気をつけてください。
よくある質問
『論語』は第1章から読むべきですか?
前半は順番どおりで構いません。ただし第10章「郷党」は孔子の服装や食事の作法だけが並ぶ章で、ここで止まる人が多いので飛ばしてください。読み終えたあとに戻れば十分です。
どの翻訳を選べばよいですか?
岩波文庫の金谷治訳を勧めます。全訳のなかで最も安く薄く、訳文にくせがありません。書店にも置いてあることが多い版です。
弟子の名前が覚えられません。
同じ人が2通りの名前で出てくるのが原因です。孔子は弟子を本名で呼び、本をまとめた人は通称で書いたためです。「子路」と「由」、「顔淵」と「回」は同じ人です。井波律子『論語入門』の巻末に人名の一覧があります。
子ども向けの本から始めるのは遠回りではありませんか?
遠回りではありません。『論語』は短い言葉の集まりなので、子ども向けの本でも中身は原典と同じ言葉です。先に言葉を知っておくと、原典で同じ言葉に出会ったときに読み進められます。