
この本が難しい理由
この本は六つの部に分かれていて、文庫でも150ページほどしかありません。名著のなかではとても短い本です。 ただし有名な「われ思う、ゆえにわれあり」が出てくるのは第四部です。そこだけを取り出して読むと、話が急に飛んだように感じます。実際には第一部から第三部まで、デカルトが自分の学びをふり返る話が続いていて、それを読んだうえで第四部に来るからこそ納得できる作りになっています。 また、17世紀のフランス語で書かれているので一文が長いです。「良識」「明晰かつ判明」といったデカルト独特の言葉も、訳す人によって言い方が変わるため、入門書で覚えた言葉と原典の言葉が結びつきにくくなります。
入門書で主要概念をつかむ
ここから大事な言葉を自分の言葉で言えるようにする段階です。著者を2人読んで、見方がかたよらないようにします。
骨格を圧縮版でつかむ
ここから原典を現代語で短くまとめた本で、全体の骨組みと章の並びを頭に入れる段階です。
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次に進む条件
『方法序説』の六つの部の並びを、目次を見ずに順番どおり言えます
原典をガイドと並読する
ここから解説書を横に置いて原典を読む段階です。「原典の中での読む順番」に従うので、最初から読み始めなくて構いません。
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読了の目安
六つの部それぞれについて1〜2行のメモが揃っています
原典の中での読む順番
- 第一部 それまで学んだ学問への失望を語る、自分自身のふり返り
- 第二部 方法の四つの規則(明証・分割・順序・枚挙)
- 第三部 暫定道徳(方法を実践するあいだの、仮の行動の指針)
- 第四部 すべてを疑う話と「われ思う、ゆえにわれあり」
- 第五部 当時の自然科学のまとめ(血液の循環、動物のしくみなど)
- 第六部 研究の成果を世に出す理由
順番どおりで構いません。ただし第四部だけは、他の部より時間をかけて読んでください。
用語の対応表
| 訳者によって異なる語 | 谷川多佳子訳(岩波文庫)の語 |
|---|---|
| 良識・常識(bon sens) | 良識 |
| われ思う、ゆえにわれあり/私は考える、ゆえに私はある(cogito ergo sum) | われ思う、ゆえにわれあり |
| 明晰かつ判明/明証的(clair et distinct) | 明晰かつ判明 |
よくある質問
『方法序説』は第一部から読むべきですか?
読めます。全六部で150ページほどと短いため、通読自体は難しくありません。ただし第四部の「われ思う、ゆえにわれあり」だけを単独で読むと唐突に感じるので、第一部からの自伝的な語りを踏まえて読むことを勧めます。
岩波文庫の谷川多佳子訳で大丈夫ですか?
はい。現代の読者に読みやすい現代語訳で、注も充実しています。同じ訳者による『デカルト「方法序説」を読む』(岩波現代文庫)と併読すると理解が深まります。
『省察』や『哲学原理』も読む必要がありますか?
『方法序説』だけで独立した著作として読めます。デカルトの思想をさらに深めたい場合の次の一冊として『省察』が挙げられますが、本ロードマップのゴールには含みません。
デカルト=「われ思う、ゆえにわれあり」以外に何が書いてあるのですか?
第五部では心臓の働きや動物機械論など当時の自然学(自然科学)の要約が、第六部では研究成果を公刊する理由が語られています。哲学書であると同時に、17世紀の自然科学への案内でもあります。