この本が難しい理由
『源氏物語』は1000年前に書かれた、とても長い恋の物語です。全部で54の話に分かれていて、現代語に訳したものでも2000ページあります。読み切るのに何か月もかかります。 難しいのは長さだけではありません。登場人物に名前が出てきません。「光源氏」も本名ではなく、あとの時代の人が付けたあだ名です。本文では役職や住んでいる場所で呼ばれるので、同じ人が話の途中で別の呼び名に変わります。「若紫」と呼ばれていた人が、あとの話では「紫の上」になります。 そして昔から、12番目の話「須磨」でやめてしまう人が多くいました。「須磨源氏」という言葉が辞書に載っているほどです。意味は「源氏物語を途中でやめた人」。江戸時代より前から、みんな同じところで止まっていたのです。
読む習慣をつくる
ここからまんがや文字の少ない本で「1冊読み切った」という経験を作る段階です。
入門書で主要概念をつかむ
ここから大事な言葉を自分の言葉で言えるようにする段階です。著者を2人読んで、見方がかたよらないようにします。
省略した2ステップを表示
次に進む条件
「女御」「更衣」「中将」がどういう立場か、本を見ずに言えます
骨格を圧縮版でつかむ
ここから原典を現代語で短くまとめた本で、全体の骨組みと章の並びを頭に入れる段階です。
省略した1ステップを表示
次に進む条件
第33話「藤裏葉」までに何が起きるか、順に言えます
原典をガイドと並読する
ここから解説書を横に置いて原典を読む段階です。「原典の中での読む順番」に従うので、最初から読み始めなくて構いません。
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読了の目安
第33話「藤裏葉」まで読み終えました
原典の中での読む順番
- 第1話「桐壺」から第33話「藤裏葉」まで(第一部)。ここまで読めば、光源氏が生まれてから位を極めるまでの物語がひと通り終わります。まずここを目標にしてください
- 第34話「若菜上」から第41話「幻」まで(第二部)。光源氏の晩年の話です
- 第42話「匂宮」から第54話「夢浮橋」まで(第三部)。光源氏が亡くなったあとの、次の世代の物語です。後半は宇治が舞台なので「宇治十帖」と呼ばれます
第一部だけでも物語として終わります。研究者のあいだにも、もともと第一部だけで完結していたという考え方があります。第二部から先は、余力があれば進んでください。
用語の対応表
| 話の途中で変わる呼び名 | 同じ人 |
|---|---|
| 若紫 | 紫の上 |
| 明石の君 | 明石の御方 |
| 帥の宮 | 蛍兵部卿宮 |
| 頭中将 | のちに内大臣、太政大臣 |
役職が上がると呼び名も変わります。光源氏自身も「源氏の君」「光る君」「六条院」など、場面によって呼ばれ方が変わります。
よくある質問
全部で何ページありますか?
角田光代訳(河出書房新社)の場合、上中下の3冊で約2000ページです。1日20ページずつ読んで約100日かかります。長い本なので、まず第33話「藤裏葉」までを目標にしてください。そこまでで物語はひと区切りつきます。
どの現代語訳を選べばよいですか?
角田光代訳を勧めます。全部の訳のなかで冊数が最も少なく(3冊)、文章が短く区切られていて読みやすい版です。1冊3850円と高いので、河出文庫版(全8巻・1冊880円)を少しずつ買う方法もあります。訳は同じです。
登場人物が覚えられません。
名前が出てこないうえ、途中で呼び名が変わるからです。『古典手帖 源氏物語』に人物の系図と事典が付いているので、手元に置いて読んでください。
最初の「桐壺」でつまずきました。
よくあることです。「桐壺」は光源氏が生まれてから12歳になるまでを一気に語るので、人物と身分の説明が集中しています。分からないまま次へ進んで構いません。先にまんがやあらすじ本で筋を知っておくと、原典でも迷いにくくなります。
全部読まないと意味がありませんか?
そんなことはありません。第33話までで物語はひと区切りつきます。研究者のあいだにも、もともとそこまでで完結していたという説があります。